流山本町の歴史的建造物で営む名店!

流山白みりんの魅力

流鉄流山線流山駅を出てすぐにある江戸回廊マップ

流山本町には、明治時代の建物、店舗、土蔵などが点在していることをご存知でしょうか。それらの建物は市指定文化財や国登録有形文化財となっているものもあり、現在も営業されている店舗もあります。今回から2回にわたって、そんな歴史的な建物を楽しめる素敵なお店を紹介します。

創業は幕末。棟札は明治

133年間地域に愛され続けている

呉服新川屋

流鉄流山線流山駅から5分程歩くとたどり着く「呉服新川屋」。扉を開けると、笑顔がはじけんばかりの秋谷光子さんが出迎えてくれました。秋谷さんは7代目の娘さんで、流山本町の色々な話をしてくださいます。

屋根の上には恵比寿様、大黒様の鬼瓦。流山の歴史を見守っている

「この建物は今年で133歳なんです」と語る秋谷さん。創業は1846年(江戸時代後期)、店舗の棟札(建築のこと)は1890(明治23)年。建物に書かれた文字によると、土屋熊五郎という大工によって建築されたようです。土蔵造りの商家は2階建てで1階が店舗、2階が住まいとなっています。2004年11月29日に流山市の建物で初めて国登録有形文化財となりました。

2005年、土台を新しく造り直し、耐震を強化しました。その際、店舗をそのまま持ち上げ、数メートル移動させる曳家(ひきや)を行い、新しい土台の上に建物を乗せたそうです。先祖代々受け継いだ建物を守りたいと思った気持ちが伝わります。※曳家とは、建築物をそのままの状態で移動する工法

呉服店と聞くと着物や反物がたくさん並ぶお店を想像するかと思いますが、店内を見渡すと、着物や反物のほかにもバラエティに富んだ商品が目をひき、思わず見入ってしまうほどです。遠州木綿、久留米絣などの生地を使った和テイストの洋服やアフリカ布を使ったバッグなどの小物類、などの異なるテイストの商品が並びます。そして長い店の歴史と共に歩んできた和の箪笥、階段箪笥や大きな柱に目がうばわれます。さらに、お店の奥には木彫りの招き猫・こまちゃんがいます。なんと、ひいおばあちゃんの愛猫だった、こまちゃんを再現した現在100歳!の招き猫はお客様にも大人気。こまちゃんが多くの幸せを運んでくれているとのことです。

また、お店の中には、歴史を感じる写真も飾られていて、秋谷さんは興味深く写真を見ているお客様に写真について説明をすることもよくあるそうです。

コロナ禍で、客足がぱたりと途絶えたとき、とても落ち込んだけれど大切なお店を守るために何ができるかを考えた秋谷さんは、もっと攻めに徹しようと思い、かわいいと思ったものを仕入れたり、色々な作家さんに声をかけたり、もちろん伝統の着物の仕事を大切にしつつ、新しいもの、良いと思ったものを取り入れました。そして「多くの方に流山に来ていただき、楽しんでもらいたい!ご縁に感謝して、まだまだ頑張っていきます!」と笑顔で語ってくださいました。

商品の数々!恵比須様、大黒様のスタンプも考案!

郷土愛あふれる

昔ながらの製法にこだわった和菓子

流山本町 清水屋本店

流鉄流山線流山駅から5分程歩くと、旧街道に東面する木造2階建ての和菓子屋店舗「清水屋本店」にたどり着きます。店舗兼主屋 は、2014(平成26)年10月に国登録有形文化財になっています。店舗部分の建築年代は明らかではありませんが、和菓子店舗創業以前の明治初期から中期にかけてではないかといわれています。

店舗正面のモルタル化粧看板や店舗土間床に建つ円柱脚部の大理石塗りは、現在では再現が難しい熟練職人の技術が見られる

清水屋は創業1902(明治35)年。初代石井鉄五郎さんが、パンとお菓子の家業を始めました。現在は4代目石井憲光さんの奥様である5代目の石井則子さんが取締役社長としてお店を切り盛りされています。元々歴史が大好きな則子さんは清水屋に「陣屋もなか」があることを知って、訪れたことがご縁でお嫁に入られ、ご主人の願いを叶えるべく清水屋の伝統を守っています。

清水屋は和菓子の命「餡」にこだわりがあります。材料は北海道産の小豆を用い、煉瓦竈門・銅製サワリ・薪で炊く製法をずっと守っています。現代では薪はなかなか売っておらず、火力の調節も難しいのでずっとかき混ぜなければならない。それでもこの製法にこだわるのは、味が全然違うから。則子さんがお嫁に来た後、ご主人に薪で炊いた餡とそうでない餡を食べさせてもらい、その味の違いに驚いたそうです。

自家製の出来立ての餡を使って作られる和菓子は郷土愛にあふれています。「万上せんべい」「陣屋もなか」「旧街道」「みりんと一茶」「赤城山」などなど流山市に関係のあるネーミングがつけられています。

餡をいただいてみましたが、口の中にふんわりとした自然な甘みが広がり、その感覚がずっと続きます。喉が渇くこともなく、また食べたくなるこの味は、こだわりぬかれた餡だからこそ。

1/登録有形文化財のシール 2/旧街道 3/みりんと一茶 4/陣屋もなか 5/万上せんべい 6/万上みりん和三盆「流山本町通り」

4代目の代に丁寧に建築、修繕された店舗は現代でも健在ですが、多くの歴史と共に生きている店舗の中からは思いがけないものが出てくることもあるそうです。万上みりん和三盆「流山本町通り(写真6)」は10年程前に出てきた「天晴」と「万上」の木型を使って作られた郷土愛溢れるひと品で、水の代わりにみりんを使っています。流山本町ならではのこのお菓子をお土産に購入する人も多いそうです。「万上せんべい」「みりんと一茶」「旧街道(照りの部分)」にはみりんが使われています。

則子さんはこれからも多くの歴史や想いを伝えていきたいとお話してくださいました。

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